生命の歴史
中生代白亜紀(1)
白亜紀は大陸の分裂により、恐竜がそれぞれ独自の進化を遂げた時代です。
白亜紀中頃(約1億年前)の気候はとても暖かだったようです。しかし後期には、気温の低下が起こり、乾燥化も徐々に進んでいきます。白亜紀に発見された恐竜の種類はジュラ紀の約2倍に達します。白亜紀の恐竜たちは食べ物や生息環境などを反映して、さまざまな形態をもつようになったのです。また、大陸が細かく分裂していたことも、多様化に大きく影響したと考えられています。
白亜紀後期には、恐竜の多様化がとくに進みました。空では鳥類が勢力を増し、入れかわるように翼竜は大型種を除いておとろえました。海では魚竜がほぼ絶滅状態になりました。被子植物(花をつける植物)はジュラ紀の終わり頃出現していましたが、本格的な繁栄は白亜紀以降です。昆虫をひきつけて花粉を選んでもらうために、美しい花をつけるようになったと考えられます。
<白亜紀の動物と植物>
ティラノサウルス
学名: | Tyrannosaurus |
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名前の意味: | 暴君トカゲ |
分類: | 竜盤目・獣脚亜目・ティラノサウルス科 |
生息年代: | 白亜紀後期 |
生息地域: | アメリカ・カナダ |
大きさ: | 全長約13m |
食性: | 肉食 |
どんな動物?: | 最大級の肉食恐竜です。巨大なあごには30㎝もある鋭く、がんじょうな歯が並び、獲物の肉を骨ごとかみくだきました。重い頭と体のバランスをとるため、前肢は小さく退化しています。 体が巨大化すぎて速く走れず、恐竜の死がいを食べたとする説もありますが、生きた恐竜を襲った証拠も発見されています。また両目はかなり前を向き、立体視能力が高く、角やトゲで重武装した獲物を襲うときも距離を正確に測れました。嗅覚もイヌ並みに発達していたようです。 ティラノサウルスは現在の猛禽(ワシ・タカ・フクロウなど)と同様、オスよりメスの方が大型でした。幼体には羽毛があったようです。 |
タルボサウルス
学名: | Tarbosaurus |
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名前の意味: | 警告するトカゲ |
分類: | 竜盤目・獣脚亜目・ティラノサウルス科 |
生息年代: | 白亜紀後期 |
生息地域: | モンゴル・中国 |
大きさ: | 全長9~12m |
食性: | 肉食 |
どんな動物?: | はっきり分かっている中ではアジア最大の肉食恐竜で、北アメリカのティラノサウルスの祖先とも考えられています。 両者はあまりにも似ているので実は同じもの(属)だとみなす学者もいますが、細かな点で違いもあります。たとえば、タルボサウルスのほうがやや小型で、顔つきや体型も少しほっそりしています。 また、タルボサウルスの方がわずかに古い時代の地層から発見されているにもかかわらず、腕はティラノサウルス以上に短く退化していました。 |
ヴェロキラプトル
学名: | Velociraptor |
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名前の意味: | すばしこい泥棒 |
分類: | 竜盤目・獣脚亜目・ドロマエオサウルス科 |
生息年代: | 白亜紀後期 |
生息地域: | モンゴル・中国 |
大きさ: | 全長約1.8m |
食性: | 肉食 |
どんな動物?: | プロトケラトプスと組み合った「闘争化石」発見により、攻撃的な性質だったと考えられます。 映画や小説の『ジュラシック・パーク』の主人公として一躍有名になりましたが、実際は中型犬くらいのサイズでした。大きく複雑な脳をもち、知能が高かったと考えられ、軽快な体は羽毛でおおわれていました。 後肢の人差し指には、半回転できる大きなカギヅメがあり、武器だったといわれますが、木や岩を登る際に用いられたとする説もあります。 |
オヴィラプトル
学名: | Oviraptor |
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名前の意味: | 卵泥棒 |
分類: | 竜盤目・獣脚亜目・オヴィラプトル科 |
生息年代: | 白亜紀後期 |
生息地域: | モンゴル・中国 |
大きさ: | 全長約2m |
食性: | 雑食 |
どんな動物?: | 化石がしばしば恐竜の巣の付近で発見され、卵を盗んで食べるといわれてきました。しかし1993年、卵からオヴィラプトルの胎児が発見され、翌年には巣の上で卵を抱いた状態の化石も見つかり、親が卵を世話しただけでなく、自分の体温で温めたことも判明しました。 しかしクルミ割り器のような形の口を見ると、他の恐竜の卵を食べた可能性も捨てきれません。牙のような2本の突起も卵を割るのに便利そうです。ただ、野生動物の卵を年中手に入れるのは難しいので、主食は木の実や果物などの植物だったといわれます。 トサカは性別で大きさが違ったらしく、ニワトリのように仲間を見分ける目印にもなったようです。 |
ガリミムス
学名: | Gallimimus |
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名前の意味: | ニワトリもどき |
分類: | 竜盤目・獣脚亜目・オルニトミムス科 |
生息年代: | 白亜紀後期 |
生息地域: | モンゴル |
大きさ: | 全長約6m |
食性: | おそらく植物食 |
どんな動物?: | 長い首と後肢、歯のないクチバシなど、ダチョウに似た「ダチョウ恐竜」のうち、全身が発見されたものとしては最大です。 他の仲間と異なり、やや平べったいクチバシをもち、四肢はわずかに短めでした。基本的にはダチョウ同様、木の葉や実、草などの植物を食べたと考えられますが、昆虫なども捕らえていたかもしれません。 巨大な目で敵の存在を察すると、ウマをはるかにしのぐスピードで逃げたといわれます。 |
テリジノサウルス
学名: | Therizinosaurus |
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名前の意味: | 大鎌トカゲ |
分類: | 竜盤目・獣脚亜目・テリジノサウルス科 |
生息年代: | 白亜紀後期 |
生息地域: | モンゴル・カザフスタン |
大きさ: | 全長約11m |
食性: | 植物食 |
どんな動物?: | 長い首と、巨大なカギヅメの生えた長い手をもつ獣脚類の変り種です。長い間、巨大な手とカギヅメしか発見されておらず正体は謎のまましたが、1990年代に入ってようやくその全貌がわかってきました。 テリジノサウルスは主として木の葉など植物をたぐりよせて食べたと考えられ、樽のように大きな腹部も植物食だったことをうかがわせます。 カギヅメは草刈り鎌のようにするどく、長さ約90cmに達しました。もちろん肉食恐竜から身を守る武器としても用いられたことでしょう。 |
トリケラトプス
学名: | Triceratops |
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名前の意味: | 3本の角のある顔 |
別名/異名: | アガタウマス |
分類: | 鳥盤目・周飾頭亜目・角竜下目・ケラトプス科 |
生息年代: | 白亜紀後期 |
生息地域: | カナダ・アメリカ |
大きさ: | 全長約9m |
食性: | 植物食 |
どんな動物?: | 最大の角竜のひとつで、頭骨の長さ2.5mにも達しました。えり飾りは角竜のなかでは最もがんじょうな構造になっており、体温調節や目印のほか、楯としての機能もあったようです。 鋭い3本の角は、まぎれもなく肉食恐竜から身を守る強力な武器として役立ちました。ただし同種の角によってケガを負わせたトリケラトプスの化石もしばしば発見されており、角は仲間同士の争いにも用いられていたようです。 植物食の恐竜ですが、肉食恐竜との接近戦では、巨大なクチバシとノミのように鋭い奥歯による噛みつき攻撃も行なったと考えられています。 |
プロトケラトプス
学名: | Protoceratops |
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名前の意味: | 最初の角竜 |
分類: | 鳥盤目・周飾頭亜目・角竜下目・プロトケラトプス科 |
生息年代: | 白亜紀後期 |
生息地域: | モンゴル・中国 |
大きさ: | 全長約2m |
食性: | 植物食 |
どんな動物?: | 角をもたない原始的な角竜で、多くの同類と異なり、口の前のほうにも歯がありました。 モンゴルと中国にまたがるゴビ砂漠で赤ん坊から成体まで多数の化石が発見されており、成長段階や性別についても、最も研究されている恐竜のひとつです。 角こそないものの、オスは鼻の上の骨が高くもり上がっていました。また、オスのえり飾りはメスよりも大きく広がっていました。プロトケラトプスの尾は、魚の尾ビレのようにたてに平たく、仲間どうしを見分ける目印になったといわれます。 |
パキケファロサウルス
学名: | Pachycephalosaurus |
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名前の意味: | 分厚い頭のトカゲ |
分類: | 鳥盤目・周飾頭亜目・竪頭下目・バキケファロサウルス科 |
生息年代: | 白亜紀後期 |
生息地域: | カナダ・アメリカ |
大きさ: | 全長約4m |
食性: | 植物食 |
どんな動物?: | 最大の竪頭竜です。頭骨のふくらみは、最も分厚い部分で25cmにも達しました。 かつてはこの頭で、ヒツジのようにはげしく頭突きをして、群れの中で順位を決めたと考えられてきました。しかし現在では、首の骨がその衝撃にたえられるほどがんじょうではなく、ツルツルとした頭同士を正確にぶつけ合うのは困難であることなどから、この説は受け入れられなくなりました。ゆっくり頭を押し合うか、わき腹などほかのところに激しく頭をぶつけたと考える学者がほとんどです。 頭のまわりにトゲが発達しているのがオスで、そうでないのがメスだとみなす説もあります。 |
アンキロサウルス
学名: | Ankylosaurus |
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名前の意味: | 連結したトカゲ |
分類: | 鳥盤目・装盾亜目・鎧竜下目・アンキロサウルス科 |
生息年代: | 白亜紀後期 |
生息地域: | アメリカ・カナダ |
大きさ: | 全長7~11m |
食性: | 植物食 |
どんな動物?: | 最大の鎧竜です。背中や頭は、軽いけれどもじょうぶなよろいでおおわれていました。また、まぶたも骨で強化されていました。 尾の先には骨でできた巨大なこぶがあり、肉食恐竜に襲われたときは、これをハンマーのように振りまわして身を守りました。その際にふんばるためか、腰の骨はとてもがんじょうにできています。 くちばしはとても硬く、平べったい形をしています。これは、地面に生えた植物をつみとるようにして食べるための適応と考えられます。 |
パラサウロロフス
学名: | Parasaurolophus |
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名前の意味: | サウロロフス(別の恐竜の名前)に似たもの |
分類: | 鳥盤目・鳥脚亜目・ハドロサウルス科 |
生息年代: | 白亜紀後期 |
生息地域: | カナダ・アメリカ |
大きさ: | 全長約10m |
食性: | 植物食 |
どんな動物?: | 鳥脚類のうち、カモノハシ竜とよばれるグループに属します。 オスには長さ1mをこえる細長いトサカがありました。このトサカは仲間を見分ける目印だったようですが、中が管楽器のような空洞になっており、ほえ声を大きく共鳴させ、音で交信することもできたと考えられています。また、鼻と一体化しているので、嗅覚を高める働きもあったことでしょう。 メスや幼体のトサカは小さく、出る音色も異なっていたようです。口には500本以上も歯があり、かたい植物もよくかんで食べることができました。 |
デイノスクス
学名: | Deinosuchus |
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名前の意味: | 恐ろしいワニ |
別名/異名: | フォボスクス |
分類: | ワニ目・クロコダイル科 |
生息年代: | 白亜紀後期 |
生息地域: | アメリカ |
大きさ: | 全長約15m |
食性: | 肉食 |
どんな動物?: | 頭骨だけで1.8mに達した巨大ワニです。他に発見されたのは脊髄や肋骨など一部で、正確な体長は不明ですが、体長15m、体重7tに達したとみられます。ただし、せいぜい10m程度だったとする説もあります。 いずれにしても、川や池で待ち伏せし、水を飲みに来た恐竜を襲う恐ろしい動物でした。また、しっかりした足取りで陸上を歩いたり走ったりもできたでしょう。骨の研究から、寿命は約50年と推定されています。 |
オルニトケイルス
学名: | Ornithocheirus |
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名前の意味: | 鳥の手 |
分類: | 翼竜目・プテロダクティルス亜目・オルニトケイルス科 |
生息年代: | 白亜紀前期~後期 |
生息地域: | 世界中 |
大きさ: | 翼開長約2.5m |
食性: | 肉食 |
どんな動物?: | 白亜紀を通じて、もっとも普通にみられた翼竜です。保存状態のよい骨格はヨーロッパから集中的に発見されていますが、断片的な化石の産地はほぼ全世界におよんでいます。 水辺の上空を飛びまわり、鋭い歯の並んだ細長いクチバシで魚を捕らえたと考えられます。ペリカンのように、魚を入れるのど袋をそなえていたことも判明しています。 |
ケツァルコアトルス
学名: | Quetzalcoatlus |
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名前の意味: | アステカの、翼の生えたヘビの姿をした神の名から |
分類: | 翼竜目・プテロダクティルス亜目・アズダルコ科 |
生息年代: | 白亜紀後期 |
生息地域: | アメリカ |
大きさ: | 翼開長約12m |
食性: | 肉食 |
どんな動物?: | 史上最大の飛行動物で、小型飛行機をしのぐ面積の翼をもっていました。最後にあらわれた翼竜でもあります。 内陸にすみ、あまりはばたかず、コンドルのように上昇気流に乗って長い時間飛びつづけることができました。長い首と硬いクチバシを使い、主にカニなどの甲殻類を捕らえたと考えられていますが、恐竜の死がいなども食べたと考える学者もいます。 体重は軽く、人間の大人と同じくらいでした。 |
ソテツの一種
学名: | Cycadaceae |
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分類: | ソテツ植物門・ソテツ目・ソテツ科 |
生息年代: | 三畳紀後期~現在 |
生息地域: | 世界各地 |
大きさ: | 高さ1~5m |
どんな植物?: | 中生代に繁栄した代表的な植物のひとつです。 現在、野生のソテツは緯度の低い地方だけに分布していますが、当時は非常に一般的でした。白亜紀の地球が全体的に暖かかったことが大きな理由のひとつですが、当時は寒冷地に適応したソテツもあったと考えられます。 |
シュロの仲間
学名: | Tetracneminae |
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分類: | 被子植物門・単子葉植物綱・ヤシ目・ヤシ科 |
生息年代: | 白亜紀後期~現在 |
生息地域: | 世界の暖かい地方 |
大きさ: | 高さ5~15m |
どんな植物?: | 主に熱帯から亜熱帯に分布する植物で、葉は扇子のように中心から広がり、先が細く分かれています。日本でも、茨城県の白亜紀後期の地層から化石が発見されています。春に花を咲かせ、秋に実をつけます。この仲間のビロウは沖縄でクバとよばれ、昔から小船の帆や、傘、扇などの素材として、幅広く利用されてきました。 |
ポプラの仲間
学名: | Populus |
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分類: | 被子植物門・双子葉植物綱・ヤナギ目・ヤナギ科 |
生息年代: | 白亜紀後期~現在 |
生息地域: | 北半球の温帯から亜寒帯にかけて |
大きさ: | 高さ15~40m |
どんな植物?: | 葉は大きく緑にザキザキがあり、冬にあると落葉する植物です。現在は各地に植林され、並木道がつくられています。 白亜紀後期から第三紀前期にかけて多くの化石が発見されており、日本でも北海道や茨城県の白亜紀の地層から化石が発見されています。また、カナダでは白亜紀前期の地層から、ポプラに近い植物の化石が見つかっています。 |
モクレンの一種
学名: | Magnolia |
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分類: | 被子植物門・双子葉植物綱・モクレン目・モクレン科 |
生息年代: | 白亜紀前期~現在 |
生息地域: | アジア・南北アメリカ |
大きさ: | 高さ約7m |
どんな植物?: | 被子植物としてはきわめて歴史の古いものです。花の構造には葉と似たところがある点や、1つの花の中にたくさんのおしべやめしべがある点などに、花をつけたばかりの初期の被子植物の特徴が色濃く残っています。 |
ハスの一種
学名: | Nelumbonaceae |
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分類: | 被子植物門・双子葉植物綱・スイレン目・ハス科 |
生息年代: | 白亜紀後期~現在 |
生息地域: | 北半球各地 |
大きさ: | 葉の直径約20cm |
どんな植物?: | 白亜紀後期の湖沼ではふつうにみられた植物です。ハスやガマなどの初期の被子植物は水辺に多く生えていました。日本では福井県の白亜紀後期の地層から、ハスの化石が発見されています。 |