恐竜って何?

富田 京一 先生(ドクター・トミー)


肉食爬虫類研究所所長。砂漠から熱帯雨林まで、恐竜の化石を追いかける日々が続く。
 恐竜研究最前線3 『最新発掘でわかった恐竜の社会!!』(9月23日公開) NEW!
 スペシャル講座(9月16日公開!)NEW!
 恐竜研究最前線2 『始祖鳥よりも古い鳥の化石の発見!』(9月16日公開) NEW!
恐竜博士 富田 京一 先生(ドクター・トミー)

基礎編

1恐竜とはどんな生き物か?

1億6000万年以上の長きにわたって地球上で繁栄した「恐竜」。恐竜とはいったいどんな生き物だったのか。恐竜はいつ頃出現したのか? どうして中生代に恐竜が繁栄したのか? 恐竜だけがもつ特殊な体の仕組みとはいったい何か? その謎と秘密に迫ります。

 ▲ ココに注目! ▼


  •  代表的なは虫類であるトカゲと、恐竜、そしてほにゅう類である人間の腰の骨である骨盤と後肢のつきかたをくらべた図。

  •  骨盤と太ももの骨が関節する部分を寛骨臼(かんこつきゅう)という。恐竜の寛骨臼は、大きなあなになっていて、太ももの骨が深くはまりやすい形をしている。

  •  恐竜の足首。まるでドアのちょうつがいのようにたんじゅんな形をしている。



2恐竜にはどんな仲間がいるか?

現在までに発見されている恐竜は何種類? ティラノサウルスやトリケラトプス、ステゴサウルスなどの人気恐竜は、それぞれ恐竜のどんなグループに属し、どの地域で、どの時期に繁栄していたのか? 彼らの多種多様な世界を紹介します。

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  •  地球の歴史をあらわした地質年代表。恐竜が繁栄したのは中生代とよばれる時代だ。

  •  おもな恐竜のグループ。原始的な恐竜のなかまには、これらにふくまれない種類もいる。



3恐竜が生きていた時代には、他にどんな生物がいたか?

中生代の空を飛んでいた翼竜、海を泳いでいた魚竜や首長竜と恐竜の関係は? 植物や昆虫、そして私たちの祖先を含む哺乳類は、当時どのように暮らしていたのか? そしてさまざまな中生代の生き物と恐竜がどのような関係にあったかについても考えを深めます。

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  •  恐竜の一種と誤解されがちな古代生物たち。翼竜と魚竜、首長竜はわりあい恐竜に近い親せきといえるが、モササウルスなどの海トカゲ竜はヘビに近いことが判明している。ディメトロドンも博物館などの恐竜グッズ売り場でおなじみだが、恐竜が出現するより前に絶滅しているし、実はほにゅう類の祖先に近い。

  •  は虫類の仲間わけ。恐竜はワニ、カメ、翼竜などとともに、主竜形類(しゅりゅうけいるい)というグループに含められている。魚竜や首長竜も原始的な主竜形類である可能性が高い。主竜形類のメンバーは、トカゲやヘビなどよりも骨格ががっしりして、パワフルなものが多い。



4恐竜は何を食べていたか?

恐竜たちは何を食べて暮らしていたのか? 巨大恐竜は1日にどのくらいえさを食べる必要があったのか? 骨格や歯でわかる肉食と植物食の違いは? うんちの化石からわかる恐竜のメニューは何かなど、恐竜と食べ物の関係について推理します。

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  •  タイで発見された大型獣脚類(おおがたじゅうきゃくるい)の歯の化石。歯の前後に鋸歯(きょし)(セレーションともよばれる)が残されていた。

  •  中国で発見された獣脚類(じゅうきゃくるい)カウディプテリクスの化石。腹部に多量の胃石(いせき)が含まれている。

  •  アメリカで発見された鳥脚類(ちょうきゃくるい)パラサウロロフスの左下顎。数百本もの歯が整然とならぶことで「デンタルバッテリー」を形成し、きわめて高いそしゃく力をえていた。



5恐竜は今も生きている?

約6,600万年前に地球を見舞った大絶滅事件。多くの恐竜をはじめ、翼竜や首長竜をも滅ぼしたその原因を推理します。 いっぽう現在の生物学においては、恐竜は絶滅していないことが判明していています。恐竜の真の生き残りとは? その意外な正体にも迫ります。

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  •  ほにゅう類のこきゅう。肺が行き止まりのふくろなので、肺の中に古い空気がのこってしまい、あまり効率がよくない。

  •  恐竜のこきゅう。体のあちこちに、肺から枝わかれした気嚢(きのう)という空気ぶくろをもつものが多い。空気を動かして総入れ替えできる、むだのないしくみだ。

  •  マメンチサウルスの頸(くび)の気嚢があったと考えられる場所。すった空気をかくしておける場所がたくさんあったおかげで、巨体でも酸欠になりにくかったといわれる。



恐竜研究最前線

1恐竜の分類が大きく変わる!!

19世紀の後半以来ほとんどの学者が、すべての恐竜は「竜盤類」と「鳥盤類」という2大グループのいずれかに属するものとみなしてきました。ところが2017年、イギリスの研究者らにより、このような分類のしかたがほぼ意味をなさなくなるのでは!? という、驚きの学術論文が発表されました。恐竜に対するこれまでの認識を根底からくつがえすほどのインパクトを持った新説の具体的な内容について詳しく解説します。

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  •  恐竜の骨のなかから、主なものの名前をしめした。腸骨(ちょうこつ)・恥骨(ちこつ)・座骨(ざこつ)そして仙椎(せんつい)が、恐竜を分類するキーポイントのひとつである骨盤(こつばん)をかたちづくっている。

  •  恐竜の骨盤(こつばん)の進化をしめした図。鳥の骨盤と鳥盤類の恐竜の骨盤はにているが、それぞれ独立に進化したことがわかる。

  •  左がこれまで用いられてきた恐竜のおおまかな分類をしめした図。右は最新の研究にもとづく新しい分けかたにのっとったものだ。



2始祖鳥よりも古い鳥の化石の発見!

これまで世界最古の鳥といえば、約1億5000万年前のドイツの地層から発見されたアーケオプテリクス(始祖鳥)が唯一挙げられてきました。ところが中国で最近発見されたアウロルニスの生息年代は、始祖鳥よりさらに約1000万年ほど古いことが判明しました。従来思われていたよりも長い歴史を持ち、複雑な道のりをたどって成し遂げられたと考えられる、恐竜から鳥への進化の謎に迫ります。

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  •  シノサウロプテリクス(いっぱん的な肉食恐竜)(上)とアーケオプテリクス(始祖鳥)(下)の骨格。アーケオプテリクスのような初期の鳥には、肉食恐竜と同じように、鋭い歯や自由に動かせる手の指、長い尾があった。これらは現在の鳥ではうしなわれているが、基本的なつくりはシノサウロプテリクスなどの肉食恐竜とそう変わらない。

  •  アーケオプテリクス(始祖鳥)の化石(右)をよく見ると、すねに長い毛のような形状の羽毛が残されていることがわかる。これはミクロラプトルの後ろ足の翼(左)のような器官が退化したものと考えられており、前足の翼の飛行性能がより発達したあかしともいえるだろう。



3最新発掘でわかった恐竜の社会!!

もはや全世界で展開されている恐竜発掘プロジェクト。極地方などにおける発掘の成果から、恐竜たちは従来思われていたよりはるかに過酷な環境でも暮らしていたことがわかりました。それを支えたのは、優れた体の仕組みもさることながら「知的」ともいえる高度な社会行動による面も大きかったようです。こうした海外の新発見とあわせて、もはや恐竜王国といっても過言ではない日本国内の発掘事情についても紹介します。

 ▲ ココに注目! ▼


  •  白亜紀の北極圏・南極圏内における、恐竜化石がよく見つかる時期・地点の年平均気温(ただし推定)を、現在のさまざまな地域のそれとくらべた図。

  •  恐竜の種類による、卵の温め方のちがい。北極圏には、親などのおとなが巣に運んだ植物がくさるときに発生する熱を利用するか、じかに体温で温める性質を持ったものだけが進出できたと考えられている。

  •  日本国内において発見されたおもな恐竜化石。実際にはもっとたくさんの化石が発見されており、そのはんいは確実なものだけで2020年8月現在、1道18県におよんでいる。

スペシャル講座

~教えて!ドクター・トミー~

ティラノサウルス・トリケラトプス・スピノサウルス・アルゼンチノサウルス・ハルシュカラプトル
~白亜紀人気恐竜の秘密に迫る!!~
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