生命の歴史
中生代三畳紀
この時代の地球は温暖化と乾燥化が進み、ヨーロッパの浅い海は暖められた結果干上がり、厚い3重の岩塩の層ができました。これが三畳紀の名の由来となりました。ただし、低緯度地帯はやや湿潤だったと推定されています。
史上最大といわれる古生代ペルム紀末の大量絶滅で、生物種の約70%が滅んでしまいました。生き残った動植物は中生代三畳紀に入ると、少しずつ勢いを回復していきます。
三畳紀前期は哺乳類型爬虫類が繁栄しましたが、中期にはおとろえ、主竜類とよばれる爬虫類が入れ替わりました。後期になると、主竜類の一部は恐竜や翼竜、ワニへと進化しました。ほぼ同じ頃、一部の哺乳類型爬虫類の中から真の哺乳類があらわれました。植物界では、気候の乾燥化とともに針葉樹が勢力を増していきます。
<三畳紀の動物と植物>
エオラプトル
学名: | Eoraptor |
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名前の意味: | 夜明けの泥棒 |
分類: | 竜盤目・獣脚亜目・エオラプトル科 |
生息年代: | 三畳紀後期 |
生息地域: | アルゼンチン |
大きさ: | 全長約1m |
食性: | 肉食 |
どんな動物?: | 最古の恐竜のひとつです。 あごの関節が簡単な構造である点、骨盤とつながっている脊髄の数が少ない点など、現在知られている恐竜の中では、最も原始的な特徴をそなえています。しかし、後肢は長く、かなりのスピードで走る能力をもっていたと考えられます。 あごの前の方には植物食恐竜のような木の葉型の歯があり、奥には肉食に適した鋭い歯をもつなど、かなり特殊な点もみられます。 |
サウロスクス
学名: | Saurosuchus |
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名前の意味: | トカゲのようなワニ |
分類: | 槽歯目・ラウイスクス亜目 |
生息年代: | 三畳紀後期 |
生息地域: | アルゼンチン |
大きさ: | 全長約7m |
食性: | 肉食 |
どんな動物?: | 三畳紀最大・最強の陸生肉食動物のひとつで、ワニに近い爬虫類のグループであるラウイスクス類にふくまれます。 2足歩行ではなく、ほとんど四肢を地面につけて陸上を歩きまわりました。ジェラ紀や白亜紀に栄えた肉食恐竜に匹敵する鋭い歯と頑丈な頭骨をもち、他の大型動物をエサにしていました。 ラウイスクス類は、恐竜とはかなり異なった方法で、四肢を胴の下に真っ直ぐ伸ばし体重を支えることができました。 |
プセウドヘスペロスクス
学名: | Pseudhesperosuchus |
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名前の意味: | 西のワニの偽者 |
分類: | ワニ目・スフェノスクス亜目・スフェノスクス科 |
生息年代: | 三畳紀後期 |
生息地域: | アルゼンチン |
大きさ: | 全長約1.2m |
食性: | 肉食 |
どんな動物?: | 初期のワニ類を代表するメンバーのひとつです。すらりとした四肢をもち、木に登ったり、軽快に走りまわったりすることができました。 現在のワニのように水辺で暮らしたのではなく、完全な陸上生活者で、小動物を襲って食べたと考えられています。現在のワニは、このような動物が祖先だったようです。 川岸などの泥は足がめりこみやすいので、歩きやすいように、四肢を外側に張り出すような姿勢をとるようになったと考えられます。 |
ディノドントサウルス
学名: | Dinodontosaurus |
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名前の意味: | 恐ろしい歯のトカゲ |
分類: | 獣弓目・ディキノドン亜目・カンネメイエリア科 |
生息年代: | 三畳紀中期~後期 |
生息地域: | ブラジル |
大きさ: | 全長約2.5m |
食性: | 植物食 |
どんな動物?: | 哺乳類に近い動物である哺乳類型爬虫類では大型の部類で、動きは鈍かったと思われます。 大きな頭骨には鋭い2本の牙をそなえていました。この牙は敵から身を守るだけでなく、植物の根や地下茎を掘り起こして食べるときにも役だったと考えられています。がんじょうなくちばしも植物をむしりとるのに便利だったことでしょう。 ディノドントサウルスの仲間は、すでに子に対する哺乳を行なっていたといわれますが、三畳紀後紀に入ると急激におとろえました。 |
エウディモルフォドン
学名: | Eudimorphodon |
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名前の意味: | 真の、2つの形の歯 |
分類: | 翼竜目・ランフォリンクス亜目・エウディモルフォドン科 |
生息年代: | 三畳紀後期 |
生息地域: | イタリア・アメリカなど |
大きさ: | 翼開長約75㎝ |
食性: | 肉食 |
どんな動物?: | 羽ばたき飛行ができる史上最古の脊椎動物です。にもかかわらず、すでに飛行に関してはほとんど無駄のない、完成された設計でした。 前歯はクギのように鋭く、奥歯は突起の多い複雑な形でした。おそらく前歯で魚を捕らえ、奥歯で噛みつぶしたと考えられており、胃の部分から魚の化石も見つかっています。 また、幼体の歯は親と異なっており、昆虫が主食だったと考えられています。 |
アラウカリオキシロン
学名: | Araucarioxylon |
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分類: | 球果植物門 |
生息年代: | 三畳紀前期~後期 |
生息地域: | 世界各地 |
大きさ: | 高さ45~60m |
どんな植物?: | 原始的な針葉樹の一種で、三畳紀の世界に巨大な森林地帯を形成していました。アメリカのアリゾナ州では、これらの森林の一部がそのまま化石化して残っています。 |
ヤブレガサウラボシの一種
学名: | Dipteridaceae |
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分類: | シダ植物門・薄襄シダ綱・真正シダ目・ヤブレガサウラボシ科 |
生息年代: | 三畳紀後期~現在 |
生息地域: | 世界各地 |
大きさ: | 高さ約50㎝ |
どんな植物?: | 葉の形から、破れた傘をさしているように見えるユニークなシダ類で、半分日陰のような場所を好みます。現在では北半球の熱帯地方にしか見られませんが、三畳紀やジュラ紀にはありふれた植物でした。日本では山口県で多くの化石が発見されています。 |