生命の歴史
古生代カンブリア紀
カンブリア紀は動物が爆発的に数や種類をふやした時代です。とくにカンブリア紀の初めは「カンブリア紀の大爆発」とよばれています。
カンブリア紀には地球表面がすべて凍ってしまったきびしい氷河期がようやく終わりました。地球が暖かくなったことが、さまざまな動物が進化するきっかけになったと考えられます。
カンブリア紀の海に出現した動物は、かたい外骨格をつくり、敵から自分の身を守るようになりました。あるものは脚やひれで、すばやく歩いたり泳いだりするようになりました。また、眼で周囲を見ることができる動物も増えました。非常に原始的な魚類も出現しています。ただし動物の多くはごく小さく、長さ数センチメートルというサイズでした。
<カンブリア紀の動物>
アノマロカリス
学名: | Anomalocaris |
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名前の意味: | 奇妙なエビ |
分類: | おそらく節足動物門 |
生息年代: | カンブリア紀前期~中期 |
生息地域: | カナダ・グリーンランド・中国など |
大きさ: | 全長約60㎝ |
食性: | 肉食 |
どんな動物?: | カンブリア紀最大・最強の動物です。小さなものばかりだったカンブリア紀の世界では異色で、全長2mに達したものもいたようです。アノマロカリスに体の一部を食いちぎられ、歯型が残った三葉虫の化石も知られています。 長い間、トゲのある強大な触手はエビ、丸い口はクラゲ、体はムカデのようなものと、それぞれ別の動物と間違えられていました。泳ぎはたくみですが、ひれの下にあるたくさんの足を使って海底を歩くこともできました。原始的な節足動物と考えられています。 |
オパビニア
学名: | Opabinia |
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名前の意味: | 岩場のもの |
分類: | おそらく節足動物門 |
生息年代: | カンブリア紀中期 |
生息地域: | カナダ |
大きさ: | 全長4~7cm(口を除く) |
食性: | 肉食 |
どんな動物?: | ゾウの鼻のよう長く伸びた管の先に、ギザギザのついたハサミのような口がある変わったスタイルの動物です。 昆虫やエビ・カニなどは小さな眼がたくさん集まって1対の複眼を形づくっていますが、オパビニアには複眼が5つもありました。 一見すると似ていませんが、実はアノマロカリスにきわめて近縁な動物で、両者の中間的な形をした動物の化石も発見されています。 |
オダライア
学名: | Odaraia |
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分類: | 節足動物門・甲殻上綱 |
生息年代: | カンブリア紀中期 |
生息地域: | カナダ |
大きさ: | 全長約6~15㎝ |
食性: | 肉食 |
どんな動物?: | 大きな複眼をもつ節足動物で、エビやカニと同じ甲殻類にふくまれると考えられます。体は半透明の甲殻でおおわれていました。クジラのような形の尾を用い、さかさまになって泳いだと考えられています。当時の動物の中では速いスピードで泳ぎながら、水中のプランクトンをとらえて食べたのでしょう。 |
ピカイア
学名: | Pikaia |
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分類: | 脊索動物門 |
生息年代: | カンブリア紀中期 |
生息地域: | カナダ |
大きさ: | 全長約5㎝ |
食性: | 雑食 |
どんな動物?: | 2本の触覚をもっていることを除けば、現在のナメクジウオにとてもよく似ている動物です。ナメクジウオは背骨のもと(脊索)をそなえており、現在生きている動物の中では、私たちヒトをふくむ脊椎動物に最も近い動物です。 かつてピカイアは、脊椎動物全体の祖先だと考えられたこともあります。しかしその後、中国のカンブリア紀前期の地層からもっと古い原始的な魚類の化石が次々と見つかり、ピカイアが脊椎動物の直接の祖先ではないことがわかりました。 |
オレノイデス
学名: | Olenoides |
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分類: | 節足動物門・三葉虫綱 |
生息年代: | カンブリア紀中期 |
生息地域: | カナダ |
大きさ: | 全長5~9㎝ |
食性: | 肉食 |
どんな動物?: | 三葉虫は当時最も普通にみられた動物で、クモやサソリ、カブトガニなどの遠い親戚にあたると考えられています。三葉虫にはたくさんの種類がありましたが、なかでもオレノイデスは当時のカナダでは特別に数が多く、長い触角が特徴的です。 砂や泥の上をはいまわったり、中に潜ったりをくりかえしながら、小動物や、動物の死がいを探して食べたようです。 |
ハプロフレンティス
学名: | Haplophrentis |
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分類: | ヒオリサ門 |
生息年代: | カンブリア紀中期 |
生息地域: | カナダ |
大きさ: | 全長約3㎝ |
食性: | 雑食 |
どんな動物?: | 貝類など軟体動物に近いと考えられている動物です。ふたのある殻をもち、サザエやカタツムリのように柔らかい足で海底をはいまわりました。 鋭い2本のトゲは、肉食動物に襲われたとき、てこの原理で急に方向転換するのに役立ったと考えられます。トゲはまた、のみこまれることを防ぐ「かえし」の役にもなったことでしょう。 |
ハルキゲニア
学名: | Hallucigenia |
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名前の意味: | 幻覚が生んだもの |
分類: | 有爪動物門 |
生息年代: | カンブリア紀前期~中期 |
生息地域: | カナダ・中国 |
大きさ: | 全長約2㎝ |
食性: | おそらく肉食 |
どんな動物?: | 背中に鋭いトゲがあり、細い足を使ってゆっくり歩きました。主に動物の死がいなどから栄養分を吸いこんでいたとする説があります。かつては上下が逆さまに復元されていたことで有名な動物です。どちらが前部かについても論争がありましたが、現在では、かつて後部と考えられた部分が前部であることがわかっています。 ハルキゲニアは、現在熱帯の湿った林にすむカギムシという動物に近縁で、ともに節足動物の祖先系と考えられます。 Earth Storyの情報を一部更新 |