| ≪新潟2≫ 広島市中区 山成幸枝さんの手記 『「裂織り(さきおり)」は夢つむぎ~』 佐渡に行った。新潟は広島市から679キロメートル。とても遠い場所のようにずっと思っていた。飛行機に乗れば案外近かった。まるで、戸口から戸口へ、宅配の小包のようにお手軽に運び込まれたとさえ感じた。広島西飛行場から新潟まで80分。ジェットフォイルに乗り換えて60分で佐渡両津港。バスに揺られて相川地区までさらに60分。島といえども、黄金に輝く稲田があり、佐渡国際トライアスロン大会も開催される元気な島である。「佐渡は居よいか、住みよいか」とあるように、夏は涼しく、冬は強いシベリア風が吹くものの比較的暖かいという。 旅の道連れはノリエさん。ノリエさんは私と性格がまるで違う。お互いにない部分を補い合えるから心強い。 ![]() 道連れ良し、お天気良し。今回の旅のお目当ては、相川町技能伝承展示館での3時間の裂織り体験だ。 「裂織り」とは、江戸時代に始まったと言われ、ネマリバタ(地機)を使って縦糸に丈夫な自然繊維を横糸に古木綿を細かく裂いて織り込む。元の布より丈夫で雨も風も通しにくいものとなる。海府の暮らしと共に生き続けてきたのだ。自在に横糸を替えられるから世界に一つだ けの私だけの布が織り上がる。「みんなちがって、みんないい」山口県の詩人、金子みすゞの一節がぴったりくる。 私の作品は、美しいといわれる相川の夕日のような色合いになったので、「夕焼け」と命名。 ホテルには海の見える露天風呂があった。朝焼けの海が見たくて、空を見上げながら湯に身体を沈め朝日が昇るのをじっと待った。海は穏やかで意外にも柔らかな色をしていた。 ![]() 帰りの船を待つ間、両津の寿司屋で、佐渡の魚づくしの握りを食べた。 鰤に石鯛、甘エビ、サザエ、鮑、鯛、メバル、イカ、鯖、カワハギの肝あえと、10個で2000円也。 大正12年生まれの私の父は、旅立ちの前夜「佐渡か、ええのう、ワシももう一遍行ってみたいのう」としみじみとした言葉を添えて送り出してくれた。 日がたつにつれ、その言葉の意味が分かるような気がすると思った。 (山成さんの行程) |